近畿日本鉄道は、鮮魚列車が専用列車として1963年9月から運転を開始、3月13日にラストランを迎え、約56年余りの歴史に幕を閉じた。
三重県の漁港へ早朝に揚がった海の幸を奈良や大阪へ運ぶ行商人のために宇治山田駅~上本町駅に鮮魚専用列車を運転。平日の毎朝宇治山田駅を出発し、伊勢市・松阪・伊勢中川・榊原運泉口・伊賀神戸・桔梗が丘・名張・榛原・桜井・大和八木・大和高田・鶴橋に停車して上本町駅に到着する。
下りは上本町駅~松阪駅間で運転、現在もほぼ登場当時のダイヤで走り続けてきた。
鮮魚列車は「伊勢志摩魚行商組合連合会」の貸し切り車両として1963年9月21日から運転を開始、当時は荷物電車車両を使用したり一般営業車両を使用していたが車両を改造したのが鮮魚列車としてのはじまりとなり通常2両編成で運用していた。
初代が老朽化し、1989年3月に長距離運用のため1480系3両を冷房とトイレ付に改造し、2代目としておよそ10年間活躍した。
2001年11月19日からは2680系3両に置き換え、3代目として現在に至っている。外部塗装は一般車両と区分するためマルーンの車体の正面に2本の太細白帯が入っている。
3月13日のラストランでは「さよなら鮮魚列車」のヘッドマークを掲出して運転した。
17時5分、「鮮魚列車」最終列車が大阪上本町駅を出発、多くのファンが見送った。
3月16日からは伊勢志摩の魚介類を車体に描いたラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」を導入し、平日朝一般車両の最後部に1両を連結し、鮮魚運搬車両として運転する。
【取材協力:近畿日本鉄道】