【東海旅客鉄道】東海道新幹線 総合事故対応訓練を実施

東海旅客鉄道(JR東海)は、東海道新幹線における大規模災害、不測の事態の発生に備え、迅速に乗客を救済、早期の復旧体制を確立するため各系統の社員、グループ会社が合同で毎年総合事故対応訓練を実施しており、11月5日、訓練の様子を報道関係者に公開した。

【脱線復旧訓練】

車両が脱線した場合を想定して復旧機材を用いて載線するJR東海が新たに導入する装置では作業時間、機材重量、人員などが約半分になる

2019年の総合事故対応訓練の際に試作機公開し、現在は量産型を導入している「車体支持式横送り装置(脱線車両を持ち上げ左右方向の位置を調整する装置)」と、初公開された「台車回転補正治具(車輪の向き・レールの向きを合わせる装置)」を使用し、ミリ単位での復旧作業を6人が連携しながら作業を行った。

【線路内の飛来物除去訓練と線路設備復旧訓練】
大型台風発生に伴い「沿線から飛来物が線路内に散乱するとともにトロリー線の金具が損傷したこと」「大雨により道床の一部が崩れたこと」を想定して地上作業員及び15tクレーン保守用車により飛来物を撤去し、トロリー線金具・道床の復旧を行う。

営業列車が通る区間のほとんどが石を敷き詰めた「バラスト軌道」の東海道新幹線。大雨などにより石が流出したことを想定してマルチプルタイタンパによる軌道整備を行い運転再開可能な状態まで線路設備を復旧させる訓練を行った。

【飛来物除去訓練】
N700系のパンタグラフに付着した飛来物を取り除く訓練で運転士が1号車でEGS(車両から強制的に架線を停電させられるスイッチ)を扱い、車掌が8号車屋根上ハッチより屋根上に上がり、伝い歩きながら5号車のパンタグラフに付着したビニールを取り除いた。

従来の訓練内容に加え、近年発生頻度が増している台風による被害を想定した訓練を重点的に行うほか、新しい復旧機材の習熟を目的とした訓練を新たに実施した。

【取材協力:東海旅客鉄道(JR東海)】