12系客車がJR西日本から大井川鐵道へ 大井川鐵道のSLに冷房車がついに登場<Report>

大井川鐵道は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が保有していた国鉄時代に製造された客車「12系」5両を譲り受け、7月25日、報道関係者向けに公開した。

12系客車は、1978年(昭和53年)に新製され、国鉄宮原客車区(現在のJR西日本網干総合車両所宮原支所)に配置、これまで「SL北びわこ号」や団体臨時列車で活躍していた。

譲受した車両は、「スハフ 12-129」「オハ 12-346」「オハ 12-345」「オハ 12-341」「スハフ 12-155」の5両。車内にはボックスシートが配置され、窓が開くことやボックスシートであることが、大井川鐵道にはマッチするとして選定されたとという。

大井川鐵道では、これまでSLに使用されていた客車は冷房装置がついていない、いわゆる旧型客車だった。今回、営業運転に投入することことが発表されたことで、近年の温暖化に対応し、冷房付き客車を導入することでトーマス号を含む観光列車の利便性を向上させるとしており、既存の客車と連結して運行を予定する。活用方法として、夏季は3両と2両に分け、3両はトーマスの冷房車(EL側に連結)、2両はSL列車・EL列車に使用する予定としている。

また、SL列車のほか国鉄時代のブルートレインを再現した観光列車を運行することで、トーマス号、SL、ブルートレインの3本柱で観光客誘致を図るとしている。

鳥塚亮大井川鐵道社長は、「12系客車は、かつて日本全国を走り抜け、多くの人々の思い出を運んだ名車両であり、昭和の鉄道文化の象徴ともいえる存在です。大井川鐵道では、SL列車をはじめとする観光列車の魅力向上に取り組んでおり、今回の導入により、より多くのお客様に「昭和の国鉄体験」をお楽しみいただけることを大変嬉しく思っております。また、本件にあたっては、当社の親会社であるエクリプス日高株式会社より多大なるご支援をいただきましたことを、この場を借りて深く感謝申し上げます。グループとしての力を結集しながら、大井川鐵道の更なる発展と地域への貢献に努めてまいります」と話した。

12系客車は今後、大井川鐵道の線路に合わせた整備や国の運輸局への登録手続きののち、試運転などを行った後、10月〜11月の営業運転開始を目指す意向だ。

また、大井川鐵道では2022年の台風被害により川根温泉笹間渡~千頭間が現在も不通となっており、全線での運転再開は2029年度末を目指すと話した。

【画像提供:大井川鐵道】